デザインに大金かけて大失敗-知財学会研究会10月2日 ― 2014年09月16日
日経BPでのデザインコンサルタントの木全賢氏の連載に気が付いたのは、メルマガにあったこんなタイトル「デザインに大金かけて大失敗」からです。
デザイン・ブランド戦略の重要性を標榜する私にとって、かなりインパクトのある標題でした。
木全 賢氏は、同webに「生きのびるための中小企業デザイン」という記事を連載されています。
この日の記事は、「ソニー最高級ブランド「クオリア」の失敗」「マツダ「クロノスの悲劇」」と並んでいて、「大金をかけてデザインを導入すれば必ず成功するのか?と問われれば、そんなことはないと言わざるを得ません。大企業ですら、デザインに力を入れたにもかかわらず失敗することがあります。。。」ではじまっています。
ソニーは、私の個人的な感覚からいうと、かつてはデザイン大国でした。ソニー製は機能とデザインが他社を一歩超えていて、若干高めの価格設定もソニーなら納得できたものでした。しかし、木全氏によれば、ブランドイメージに陰りが見え始めた2003年に発売を開始した「クオリア」という製品シリーズ:ソニーの最高級ブランドとして位置づけられ、「感動価値の創造を基準に」企画された製品群が、デザインはすばらしいものの、その製品仕様には最高級ブランドとして首をひねらざるを得ない点がいくつもあり(例えば、800万画素デジカメが登場していたにもかかわらず「クオリア016」は200万画素のデジカメ、など)、このため、優れたデザインを備えていたものの、最高級ブランド・高価格に見合わない製品仕様のクオリアは市場に受け入れられることなく、ソニーは2005年にクオリア事業から撤退したということです。(写真は液晶でなくブラウン管テレビとして出されたクオリア。出典http://av.watch.impress.co.jp/docs/20030610/sony1.htm)

特許庁時代、何度かソニー本社を訪ねて、当時の中鉢良治副会長とデザイン知財についてお話ししたことがあります。中鉢さんは、同席したソニーの知財部幹部を前にして、ライバルの韓国企業と比べて社内デザイナーの数が一桁少ないことを挙げながら、ソニーのデザイン力復活を力説されておられました。ソニー知財部としても、ヒット商品を生み出すためにデザイン知財戦略を駆使したかったことでしょうが、残念ながらその例を私は知りません。(勉強不足の可能性もあるので教えていただければ幸いです)
一方で、我が特許庁の「なるほど、日本の素敵な製品」に紹介されているデザインに優れた数々の製品は、高い機能と美しいデザインを兼ね備えたヒット商品が並んでいます。モノづくりにおけるデザインの意味はこのあたりの差にあるのでしょうか。
今日時点で、木全さんの続編は掲載されていません。そのため(?)、日本知財学会では木全さんを講師としてお招きし、第8回デザイン・ブランド戦略分科会研究会を開催することにしました。
テーマは「フォルムとは何か?―生きのびるための中小企業デザインマネジメント―」です。木全さんには、冒頭の「大金かけて失敗した」話も含め、熱烈なご講演をいただくことにしています。場所は今最もホットな虎ノ門ヒルズ向いの金沢工業大学虎ノ門キャンパスです。(余談ながら、同キャンパスには特許庁から最も近い知財専門職大学院があります)
ご参加登録は、以下の知財学会webサイトからお願いします。
https://www.ipaj.org/bunkakai/design_brand/event/8th_kenkyukai_20141002.html