新刊「日本のイノベーションのジレンマ」(2015.9.11 翔泳社)2015年09月27日

 玉田俊平太関西学院大教授から送られてきた新著です。手に取った感覚が持ちやすく、寝転んで(失礼!)読むにもぴったり。内容は著者の性格を表して平明かつポイントを押さえつつ、破壊的イノベーションを日本企業の実例を挙げて丁寧に説明していきます。教科書としても有用でしょう。玉田先生ご指摘のとおり、日本の大企業幹部は「イノベーション」の意味をちゃんと理解していない節があります。特に破壊的イノベーションの理論は、イノベーション論の中でも極めて重要だと私は思っていますが、それがちゃんと理解されていない。これは、妹尾賢一郎先生が経団連で行ったセミナーで、榊原定征会長をはじめとするお歴々の前での発言「イノベーションとは、全く新しい産業を創り出し、古い産業に取って代わることだ。もし、本気でイノベーションを起こせば、ここにおられる誰かの会社をつぶすことになるかもしれない。そのお覚悟はあるのですか」【2014.8.9産経新聞デジタル版】にも表れています。
この本を読めば、日本企業がいかに破壊的イノベーションを起こして米国企業を震撼させたか、そして、現在破壊的イノベーションを起こせないでいるかが明確に整理されます。強いて注文をつけるなら、いくつか紹介しエイル個別ケースについて定性的な解説にとどまっているところが多く、少し物足りなさを感じることですが、ビジネス書として出版されていますのでやむを得ないことでしょう。たまちゃん、早速講義にも引用させていただきます。(東工大)MOTの学徒のみなさんにもおすすめの本です。
 (書影はamazon.co.jpからお借りしています)